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あのチベットから半年・・・
『シューー』

自分の名前を叫ぶ声が聞こえた。
心の中で「んっ」と思ったが、こんなところで、俺の事を呼ぶ人がいるわけがない。

そのまま山を上り続けようとした、その時。
またしても、
『シューーーっ』
って、叫ぶ男の声が聞こえた。こんなとこで誰だろう・・・。
さすがに振り返って、声の主を探した。

ちょうどその時、僕はチベットの省都・ラサ郊外のガンデン寺がある山を登っていた。ラサからここまでやってきた40人乗りのバスの中で外国人は韓国人の女の子2人と僕1人だけで、
それ以外は全員チベット人。彼らは巡礼のためにこの地にやってきていた。
標高4500mを超える高地にある小さな村で、まわりはチベット人しかいない。
いったい誰が俺の名を叫んだんだろう。


振り返って下を見下ろすと、両手の頭の上で躍らせて、
3度目の『しゅー』を叫ぶ男を見つけた。
「あっ・・・・、Ohh~~、WHY~~~??」と俺も声を張り上げながら、山を駆け下りた。

彼はその前日、ラサの食堂で一緒に食事して仲良くなった韓国人Aだった。
たまたま同じ宿のドミトリーで仲良くなったとか、バスで出会ったとか、旅で出会ったメンバーでひとつのテーブルを囲い、韓国式焼肉と焼酎をたらふく食べていたのだ。その場は6カ国、10人のメンバーがいて、彼はそのうちの一人だった。

その時、彼は明日は「鳥葬」に行って来ると言っていて、俺は明日一人でガンデン寺に行ってくるからお別れだな!と握手をしていたのだ。

その彼が今、このガンデンにいるってことがあまりにも不思議で、
なんでいるんだよ~とかそんな話をしていた。

その時、彼の隣にいた赤い服を着た女性が
俺が首からぶら下げていたカメラを目ざとく見て、英語で「カメラ好きなの?」って
声をかけてきた。「YES,ってか ARE YOU JAPANESE?」って俺が聞くと、
相手は思った通り日本人だった。思わず、笑いがもれた。
彼らと軽く情報交換をした。彼女や韓国人Aら4、5人でジープをチャーターして鳥葬に行ってきた帰りにたまたまここに立ち寄ったそうだ。

またお互いに行き先が異なるから、バイバイをした。

その数日後、大晦日の日、ラサから成都に向かう飛行機の待合室で、例の赤い服を着た女性、uccheeさんに再会した。成都についてからも、uccheeさんとは同じ宿で、他のたくさんの旅人とそれぞれの旅を語り合った。

最近彼女のブログを見て、忘れていたチベットへの思いがめらめらと燃えてきた。

またチベットに行きたくなってきた。
そして、久しぶりに自分の過去の記事を読んで、あの時はこういう風に感じていたんだなぁ、ってその時の自分の思っていたことを文章を通して思い出した。


それにしても、恐ろしく寒いところだった。
乾燥している上に、あの寒さ、本当に肌が切れるんじゃないかと思った。

あのチベットから半年・・・_b0069430_132046.jpg


水道管から漏れた水がこんな状態に・・・・。
by shuxaku | 2005-06-18 01:05 | +++ Travel +++
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