青空に向かってダイブ!
b0069430_0224389.jpg太陽の光が優しく降り注ぎ、さわやかな風が吹いている。
揺れる木々の上では小鳥たちがピヨピヨと歌を歌い、
秋の虫がそれに合わせるように大合唱している。

そんなある秋晴れの休日。

実際のところ、こんな爽やかなタッチの書き始めとは、遠い世界の出来事のように、かけ離れていて、そんな事を1gも考えることなく、僕等の「心臓」はドクドクと鼓動を打っていた。

場所は鹿野山マザー牧場。
けっして牛の乳搾りをしにきたわけでもなく、子豚のレースを観にきたわけでもない。


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目指すはひとつ、
そうバンジージャンプ

その数日前、あんまりやりたくないけど、死ぬ前に一度くらいは挑戦すべきだよねという話になって、この日いざ初挑戦することに。

3人のメンバーのうち、Tさんは向かう途中の車の中から「俺は絶対に飛ばないから!!」と
何度も念を押すように繰り返していた。
「いや、そんな事言わずに一度くらいやってみましょうよ」と説得をしていた僕自身もあまり高いところは好きじゃなくて、実際にバンジージャンプの場所が見えてきた時には、心臓がドキドキ。


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一歩近づくごとに、後悔の念がふくらみ、自分自身ですら「本当にやるのかな」と疑問に思えてきた。

下から見上げるそれは予想以上に高かった・・・。
高さでいうと21メートル。ビルにして7階の高さがあるそうだ。

ただここまで来てしまったのだからと、勢いでバンジーの受付をすませる。
Tさんはもう絶対に無理と言っているから、Tさんにカメラ等の荷物を預け、Hと二人でイン。






待っている間、次々と人が悲鳴と共に落ちてくる。その度にこえ~とか思っていたら、
あっという間に自分の番。Hは俺の後だけど、なんだか顔色があまり良くない。
まあ確かに。この場所で待たされるのは気分がいいものじゃない。

「それでは準備お願いしまーす」
という係員の明るい声に、乗っかるようなカタチで余裕ぶって上への階段を昇り始める。
余裕ぶってるフリをしてるけど、結構というかかなり怖い。階段を上るにつれて風が強くなり、
鉄の階段を上る自分の一歩一歩が「カラン、カラン」と金属独特の無情な音で返ってくる。
それがまたヒヤヒヤ感を演出しているように思える。

b0069430_029375.jpg頂上についた。
下から見ていたらそんな高くないと思っていたこの場所も、上から見下ろすと、
自分が予想していたのより3倍の高さに立ったように思える。
体感高度という言葉があるのなら、それは100メートルくらい。
もともと山の高い部分にあるから余計にそう思うのかもしれない。




ずいぶん遠くの山まで見えるし、海をゆく船もゴマ粒のように見ることができる。

係員によってカチッ、カチッと金具を付けられていった。
僕はまるでデクノボーのように、されるがままだ。
今まで事故は起こったことはないそうだが、自分の時に限ってロープが切れてしまうとか
金具がはずれてしまうんじゃないかといった思いが頭をよぎっていく。

「両手を頭の後ろで組んで下さい」
「私が3、2、1、バンジー!と言ったら、そのまま上体を前に倒してください」

この人にとっては何百回も繰り返している決まりきった文句なのだろう。
微塵の感情もなく、さも当たり前のように、ただ嫌味なくらいにテキパキと仕事をこなしていく。
下に目を向けると、なんだかさっきよりオーディエンスが増えている。
これじゃ、なんだかドナドナに出てくる牛のような気分だ。

「それでは足のつま先を5cmほど外に出して下さい」
うげ~~~~っ、今までで一番冷や汗を感じた瞬間だった。自分の体を支えるかかとはまだ台の上にあるが、「足のつま先」の下はなにもない。つまり「つまさき君」だけ地上21メートルの所で宙ぶらりんの状態になっている。怖いという気持ちがピークに達する前に、係員が続けた。

「3、2、1、・・・・・・・バンジ~!」
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次の瞬間「んんぉ~~~~」声にならない叫びが自分の体から発せられていた。
ものスゴイ勢いで、地上に置かれた緑色のクッションが迫ってくる。
長い長い時間だった。「下に着いてしまう!」と思った次の瞬間、今度は反動で上に
跳ね上げられていた。
b0069430_0343939.jpg「こえ~~~~!!」と叫ぶ僕にカメラを向けてるTさんがニヤニヤしてるのが一瞬目に入った。
「ったく他人事だからってそりゃないでしょ~」 ロープに翻弄されつつも、なんだか悔しいから本日2度目の余裕ぶっこきのフリをして、カメラに向かってピース。

地上までロープが下げられ、地面を足で踏んだ瞬間思わずがため息がもれた。
上を見上げると、次のHが準備の段階に入っている模様。

「がんばれ~!」Tさんと共に声援を送る。
足を台の外から踏み出そうとした次の瞬間、また足を戻して、係員に何か言っている。
「あれ~、リタイアじゃん!」
金具を外され、階段を下りてくるHの足取りが重たいのが遠目にもわかった。

秋の午後、赤とんぼが遠く、空の向こうに飛んでいった。
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by shuxaku | 2005-10-12 23:19 | +++ Outdoor +++
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