『Good evening, Heartache』
七夕の日、仕事を終えた僕は車で10分ほどのユーカリが丘に向かった。
そこのスポーツクラブに入会するためだった。

車を止めて、スポーツクラブに向かう空中歩道を歩いている途中、引き寄せられるように、ふと一軒の楽器屋に入った。

たくさんの楽器があって、まず一番最初に目に飛び込んできた電子ピアノの前で、
シューマンの「トロイメライ(夢)」を弾いてみた。
途中までしか憶えていないから、弾けるところまでだけど・・・。

ピアノの腕はともかく、純粋にいい音だな、って思った。
やっぱり僕はピアノがすごく好きだ。
そこらへんは、ピアノ講師の母親の影響を大きく受けている。

続けて、唯一最後まで覚えている曲「Good evening, Heartache」を弾いていると、ふと人の気配を感じた。横を見ると、3mくらい先で幼稚園くらいの女の子がニコニコしながら、僕の方を見ていた。

ちょっとしんみり系の曲を弾いているのに、彼女はこれぞ100%の笑顔って顔を僕に向けていた。なんだか、僕の中のなにかが洗われるような感じだった。
なんで、そんな無邪気な笑顔なんだろうって、不思議に思った。

それに比べて、たぶん僕は複雑な表情をしていたんじゃないかと思う。

われに返って、最後まで曲を弾いた。
最後まで、きちんと弾きたい気分だった。

弾き終わった僕を見て、彼女は小さな拍手を送ってくれた。
僕は、嬉しくて、ありがとうって彼女に少し照れながら、伝えた。

店内で、なに勝手に演奏会やってるんだよって感じですが。。。


外は雨だけど、なんだかとても気持ちのいい気分だった。

しばらく、その楽器屋から出たくなくて、いろいろな楽譜を眺めてから、
ギター、ベースコーナーに向かった。

思えば、大学生の頃は軽音サークルでバンドを組んで、ベースをやってたから、しょっちゅう楽器屋に来ていたけど、大学卒業してから、ベースを弾かなくなり、楽器屋に来ることはほとんどなかった。

店内を回って、もう帰ろうとした時。

そこで、僕は彼と出会った。

彼の正体・・・・、ジャンベ。
西アフリカ発祥の、古くから伝わる魂の楽器。


夏の海岸で思いっきり叩いてみたいと思った。

サーフィンし終わった後・・・。

海に沈む夕陽を眺めながら・・・。

砂浜の焚き火の周り・・・。



想い(妄想?)が止まらなくなった。
僕は次の瞬間、店員さんと、相談しながら、買うことを決めていた。

ジャンベを手にし、車のところに戻ってきたとき。
あっ、スポーツクラブ行くの忘れてた、と思い出した。

かまわず、僕はジャンベを後部座席に置いてから、運転席に座った。
キーを回し、車のエンジンをかけた。

空を眺めると、ねずみ色の雲の中に、かすかに夕方だとわかる光を見つけた。

この日は成田で祇園祭があって、急遽、家族皆で行くことになった。

この祭が終わると、いよいよ本格的な夏がはじまる。

新しいことをはじめる、このワクワクさ。
いつも胸の中に置いておきたい。
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by shuxaku | 2007-07-12 23:56 | +++ Life +++
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