郡上の風にのって
どんなに言葉を積み重ねても、伝えきれない情景がある。

それは、いつも文章を書くときに直面する問題なのだが、
「郡上八幡」で出会った情景は、あまりにもドラマチック過ぎた。


はじまりは、土曜日深夜12時の渋谷だった。
2台の車に乗った僕ら8人は、タクシーの波をかき分けるように、首都高に乗り、約3時間後、静岡西端の浜名湖サービスエリアにいた。

ここで、3時間弱の仮眠タイムだったのだが、僕は寝付けず、朝の光で輝く浜名湖をぼんやり眺めていた。基本的にどこでも、すぐ寝てしまう自分にとっては、なかなかないことで、すでに気分が高ぶっていたのだろう。

岐阜県・郡上八幡市、この小京都、水の都と呼ばれる街についたのは、
日曜日の午前8時過ぎ。キャンプ場に到着して、早速僕らは手分けして、
テント、タープを設営し、林の中の基地を作った。

まだ朝だというのに、照りつける夏の太陽は容赦ない。
拭っても拭っても、噴き出してくる汗。

嬉しくなるくらいに、暑い・・・。


もうパーフェクトな真夏だった。


一息ついたところで、早速街のスーパーへ昼と晩御飯の食材の買出し。
昼も夜も地元野菜をふんだんに使ったメニューに決まり、買い物カゴ4つがいっぱいになる程度の食材と飲み物を買い込み、氷をたくさんもらって、再びキャンプ場へ戻った。

昼ごはんの準備を皆で手分けして作っていく。
拍手を送りたいくらいすばらしい連携プレーであっという間に昼ごはん。

氷水であふれた発砲スチロールの中で躍る缶ビール。

水が美味しいこの街の地うどん、薬味がたっぷりのった豆腐、夏野菜サラダ。

ダッチオーブンを使って無水で仕上げたとうもろこし。

すべてがむちゃくちゃ美味い。へたな調味料を使っていないから、素材の味がばっちり生きてるし、素材自体の香りもすごくいい。

腹ごしらえはばっちりだ。
おしゃべりしながら、ビールを飲みつつ、片付けたり、夕飯の仕込みを終えて、それらをクーラーBOXに放り込むと、皆で再び街へ。


今度は、踊りの練習のために、マチクリ(街へ繰り出すこと・・・)。
昔ながらの情緒を残した旧役場の2階で練習した郡上踊り。
前日、クーラーが壊れたということで、室内はむんむんしているが、体温の上昇と共に気分もハイテンションに(笑)アルコールが入ったせいもちょっとあるけど・・・。

踊りの後、去年と同じカキ氷屋で、イチゴのカキ氷を食べると再びキャンプ場へ。


そこから始まった時間は戦場のようなティナータイムだった。踊りの練習後だったせいか、テンション高いまんま、誰もが躍動感を持って、笑いながらも、スピーティーに料理を作っていく。

すぐ炭に火をつけ、スキレット(鉄製フライパン)でピザを焼き、ダッチオーブンでラタトゥイユ、ガスコンロでは、鳥ささ身のホイル焼き、などなど。

ピザの生地は昼に仕込んでいたので、ちょうどいい具合に発酵していたし、ラタトゥイユの野菜も全て小さくカット済みだったので、鍋に入れるだけ。ピザの具も手作りトッピングが3種あり、短時間にしてはかなり満足度の高い食事だった。

ピザ1枚にしても、生地をのばして、丸くしたものを、薄くオリーブオイルを塗ったスキレットにいれて、トッピングをのせ、チーズをちらし、ブラックペッパーをひく。その上に熱々のスキレットのフタを乗せ、5分弱ほどで焼き上がり、また次のピザ生地と・・・。同時にピザを切り分けてくれて運んでくれたり、と素晴らしい流れ作業で、一人一人にMVPを送りたい感じ。
そしてこの後には浴衣への着替えもあるので、順番に回転しながらシャワータイム。

個人的には、のんびりとは程遠い体育会系なディナータイムでとても楽しかった。


夕陽が山の向こうに沈み始めた頃、浴衣をまとった8人が、1台の車に乗り込み、
田舎道を突き抜けて、街へ繰り出す時の高揚感、言葉にできないくらいのワクワク感で満ちていた。そのせいか、やたらクダラないことばかり連発していた気がする。


全開にした窓から入ってくる風が心地よい。

これから夏がはじまるというのに、BGMは、なぜか切ない「夏の終わり」(笑)

駐車場に車を止め、祭り会場までの道は川の土手になっている小道なのだが、まるで灯篭流しのように、火が灯されていて、すごくすごく心に残る風景だった。

遠くで聞こえていた祭囃子の音が近づいてきた。

いよいよ僕らのお祭タイムがはじまる。

盆踊り、地元では踊ったことすらないのに、わざわざこんなに遠くの街まで踊りに来てる。
なんだか、僕らは皆頭おかしいかもしれない(笑)
けど、いいんだ。
夏だから。


「雨も降らぬに袖絞る」とは、よくいったものだ。

汗が止まらない。
音も止まらない。

ボルテージも上がってくる。

前日徹夜だったせいか、途中、意識が飛びそうになったり、慣れない下駄で足がどうしようもなく痛くなったりして休憩したが、それでも夢中で夜11時過ぎまで踊り続けた。

終わってみれば、あっという間の踊り時間だった。
仲間8人の顔も、充足感に満ち満ちていて、その時間を共有できたことを、心の底から嬉しく思った。

夏特有の。98%の高ぶったテンションと、2%の切なさを感じながら、
僕は思った。

最高のキャンプツアーだった。

今は夏なんだ。

きっと、もっと夏を感じたいんだ。
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by shuxaku | 2008-07-24 18:29 | +++ Outdoor +++
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